2013年03月14日
著作権について考える
昨年の10月から、違法ダウンロードが罰則化されました。
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/online.html
改正著作権法では、ネット上で違法に配信されている音楽や動画をダウンロードすると、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科されます。
改正前から違法と知りつつダウンロードすること自体は禁止されていたのですが、罰則規定がありませんでした。
また、今回新たDVDなどの不正コピー防止技術をすり抜けて違法コピーする行為も、禁止対象とされます。ただし、こちらは罰則規定はありません。
一方で、日本レコード協会の統計によればCDの生産量は年々低下しており、その原因の一つとして違法ダウンロードの存在がやり玉にあげられています。
http://www.riaj.or.jp/data/aud_rec/aud_m.html
ところが、違法コピーとCDの売上は無関係との調査結果もあるようです。
果たして、著作者の権利を強化することが良いことなのか…
という疑問がずっとモヤモヤしていました。
そんな疑問を解消すべく、次の本を手にとってみました。
「なんでコンテンツにカネを払うのさ? デジタル時代のぼくらの著作権入門」
岡田 斗司夫 , 福井 健策 著
阪急コミュニケーションズ¥ 1,470
岡田 斗司夫氏は自称「オタキング」として有名で、東大で講師をされるなど有名な方ですね。
もう一人の著者である福井 健策氏は、著作権法を専門にされている弁護士です。
その二人が対談形式で、著作権やコンテンツ産業の未来について様々な角度から語るというスタイルになっています。
冒頭のはしがきで、岡田氏は次のように述べています。
「僕は著作権が嫌いだ」と。
著述家であり、本来著作権で保護される側である氏がそう考える理由を、次のように述べています。
あらゆる作家やクリエイターは、絶対に模倣やパロディから出発する。
そこがクリエイティブの土壌であり、源泉なのだ。禁止すれば必ず枯渇する。既得権を守るために、土壌そのものが痩せてしまったら意味がないじゃないか。
P4
創作活動をしたことが無い自分にとっては、眼から鱗です。
著作権の枠組みを考える上で、非常に重要な指摘であると思います。
そうは言っても、著作権法という仕組みがあるのは厳然たる事実なわけで、弁護士である福井先生とは意見が真逆になる…
と思いきや、案外そうでもありません。
福井先生も、健全なコンテンツ市場の育成には、現行の著作権制度がうまく機能していないという考えです。
一例として、DRM(デジタル著作権管理)の問題を指摘しています。
DRMとは、DVDのコピープロテクトのように、デジタルコンテンツのコピーを制御する仕組みのことです。
DRMには大いに有益な面もありますが、使いようによっては私的複製を一切禁止するツールにもなってしまう。
そして、DRMが及ぶ範囲は、権利者とメーカーの話し合いで決まってしまい、ユーザーの関与する余地は基本的にありません。
それならば、DRMよりも、まだ法律の方がマシではないのか?
P39
その他、クリエイターの将来像や、ネット上に国家を作るなんて壮大な話も飛び出してきます。
全体として、私が著作権に抱いていた違和感のようなものに、ある程度答えてくれる本でした。
サクサク読めるので、著作権に興味のある人はもちろん、そうでない人も一読をお勧めしたい一冊です。
タグ :著作権
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