2013年04月02日

出世払い


出世払いという言葉があります。
言葉の意味を辞書で引いてみると、

【出世または成功してから借金を返済すること。また、その約束。】

と書かれています。

現実にこのような約束をした人を見たことがないのですが、どうなんでしょう?

さて、首尾よく出世できたら何の問題もありませんが、もし出世の道が閉ざされてしまったら、
借りたお金を踏み倒してもよいことになるのでしょうか?
みなさんは、どう思いますか?

「将来的に出世をすれば」という文言には、二通りの解釈が考えられます。

  1. 出世するかどうかは不確定事項であり、不成功に終わる場合も当然有り得る。

    だから、不成功が確定したら借金は返さなくて良い。

  2. 借金の支払いを出世するまで猶予したに過ぎない。

    不成功が確定したら、もはや猶予期間は終わったので、すぐに返済しなければならない。



法律的には、aの方を停止条件、bの方を不確定期限と呼びます。

条件とは、将来起こるかどうか不確実なもの、期限とは将来必ず到来することを指します。
例えば、「大学に合格すれば仕送りをしてあげる」といのは条件に当たりますね。

停止条件とは、効力の発生について条件を付けるという意味です。
これとは逆に、効力の消滅について条件を付けることを解除条件と言います。
(停止条件って言葉は何かしっくり来ない気がしますが、そういうものだと思って下さい)
今回の話だと、借金の返済について停止条件を付けた、ということになります。

一方の期限とは、将来確実に起こる事象を言います。
「平成○年○月○日が来たらお金を返す」といった場合には、期限を指定したことになります。
更に、いつかは必ず到来するが、それがいつになるかは分からないような期限を、不確定期限と呼びます。

「次に衆議院が解散したら…」といった場合は、不確定期限になります。

…そして、出世払いをどう解釈するかについては、大正時代に判例が出ています。
それによると、特別の事情がない限り、出世払いは不確定期限と解釈すべしとの結論です。
なので、借りたものはいつかは返しましょうということですね。

出世払いでお金を借りるときは、注意しましょう!

埋め合わせの写真↓
出世払い

タグ :法律民法

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