2013年02月26日
アーセナルファン
みなさんは、普段サッカーを観戦したりしますか?
「日本代表のだけは見る!」という人も多いのではないかと思います。
かくいう私も、以前はそうでしたが、あるきっかけにより、海外サッカーに興味をもつようになりました。
4年ほど前に、ケーブルテレビで適当にザッピングをしていたら、イングランド・プレミアリーグの試合中継をしていました。
そのとき放送していたのが、アーセナルというチームの試合だったのでした。
(対戦相手は失念しました)
最初は特に興味がなかったのですが、試合展開の早さやテクニックが、それまで知っていたサッカーとは段違いで、思わず最後まで観戦してしまいました。
そして気がつけばアーセナルファンに・・・
まあ、ファンといっても、毎週の試合や海外のニュースサイトをチェックするぐらいの「にわか」ですけど…
アーセナルには、かつて元日本代表の稲本潤一が所属していたことがあります。また、現監督のベンゲルは、以前Jリーグで名古屋グランパスを指揮していたことがあります。
そんなこともあってか(関係ないかもしれないけど)、日本でもアーセナルサポーターは結構いるみたいです。
ただ、今シーズンから香川選手がマンチェスター・ユナイテッドに移籍したので、日本人のマンUファンが激増かも?
サッカーの内容に惹かれてファンになった訳ですが、昨シーズンから主力選手の流出が相次ぎ、グダグダな試合ばっかりに

ああ、なんてこった…
(まあ、暗黒時代の阪神を見て鍛えられた者としては、この程度では心が折れない自信がありますが!)
今年も無冠で終わるのがほぼ確定ですが、チャンピオンズリーグ出場権がある4位以内でフィニッシュして欲しいもんです。
↓公式サイトより
http://www.arsenal.com/news/news-archive/man-of-the-match-v-aston-villa-cazorla

2013年02月20日
休日の出来事
こんにちは。
今回は、前回記事の翌日(2月11日)の話です。
この日は、行政書士仲間のHさんと大阪上本町のカフェでお茶してきました。近況報告などの雑談をしたのですが、なんでも新規に建設業許可を取りたいという相談が増えているのだとか。
安倍政権が発足して、大型の補正予算が組まれたので、建設需要が増えているのかもしれません。
お互いに刺激しあえる仕事仲間というのはいいですね。自分も頑張ろう!という気持ちが高まりました。
ところで、この日は丸福珈琲店というカフェに入りました。店員さんによると、こちらのコーヒーはかなり濃ゆくて、アメリカンで通常のレギュラーと同じ濃さになるそうです。
濃い目のコーヒーが好きなのでレギュラーで注文してみたのですが、想像以上のヘビーさでした。
次はアメリカンにしよう…。
Hさんと別れたあと、時間があったので、近くにある生國魂神社(いくくにたまじんじゃ)に寄って行きました。
こちらは、「生玉さん」という愛称で親しまれている神社です。
延喜式に記載されている式内社ということですから、歴史の古さや社格は相当あると思うのですが、あまりメジャーなスポットではない気がします。
神社の東側に参詣道っぽいものがあり、そこから鳥居をくぐって中に入ります。
手水舎でお清めをした後、本殿に参拝。
商売繁盛を始めいろいろとお祈りしてきました。
本殿から右手に進むと、木々が生い茂っている一角に出ます。
こちらは、だだっ広い本殿と打って変わって静かな雰囲気です。
こういう場所は、心が落ち着きます。
さらに奥へ進んで行くと、境内社がずらっと並んでいます。なかなか壮観です。
全部お参りするのも何なので、一番気になった鴫野神社という境内社にだけお祈りしました。
御由緒の説明によると、淀君が篤く信仰していた神様で、女性の守護神なんだだそうです。
生國魂神社は上町台地の上に鎮座しています。
鴫野神社は境内の一番西端に位置しているので、鴫野神社の横からはいい眺望が望める…と思ったら、靄がかかっていてあまり遠くまで見えませんでした。
この神社ができた当時は、周囲に高い建物もなく、遠く大阪湾まで見渡せたのかな。
…と妄想などしつつ、生玉さんを後にしました。
2013年02月17日
オーダーメイドの小銭いれ
こんにちは。
週2回更新するとか宣言しておきながら、前回より1週間以上あいてしまいましたごめんなさい(汗)
つ、次からはサボらないよう頑張りますっ…
先週2月10日に、楽園ブログの仲間であるHEDGE 芦屋店さんにおじゃましてきたので、そのレポートをお届けします。
先日、楽園ブログの新年会がcafe ATIKさんにて開催されました。
cafe ATIKさんは、すごく雰囲気のいいカフェでした。
夙川駅の近くなので、近くに寄られたぜひお立ち寄りを!
で、そのときたまたまお隣の席になったのが
HEDGE芦屋店の店長さんでした。
(何だかこのパターンが多いですね)
HEDGEさんでは、革製品の小物やバッグを販売されています。
しかも、すべて自社で手作りをされているとのこと!
いろいろ興味深いお話を聞くことができました。
その場はそれでお開きになりました。
私は普段、財布とは別に小銭いれを持ち歩いているのですが、今使っているのがもう10年以上使い込んでいてボロボロに…
そろそろ買い換えようかなあとぼんやり考えていたら、HEDGEさんのことを思い出しました。
「小銭いれなら、きっと置いてあるに違いない!」と急遽思いたち、昼3時くらいに家を出発。
目指すはお店のある芦屋浜です。
自宅から近鉄電車に乗り、阪神尼崎駅に到着。
そこから特急に乗り換え、阪神芦屋駅までたどり着きました。
頂戴していた名刺の住所を頼りに、iPhoneのGoogleマップで検索したのですが、
駅から歩くにはちょっと遠そう。
そこで、適当に芦屋浜方面に行きそうなバスに乗ってみました。
…が、これが見事にハズレだったようで、シーサイドセンターというところで降ろされてしまいました。
まあ、方角的にはそんなに外れていなかったようなので、そこから徒歩で行くことにしました。
iPhoneを見ながらてくてく歩くこと十数分、なんとか迷子にならずに目的地に着きました。
突然押しかけたにも関わらず、店長さんに快く迎えていただきました。
ありがとうございます~
さっそく小銭いれを所望したところ、何点か商品を案内していただきました。
マチつきのタイプが、小銭を取り出しやすくてオススメだそうです。
アドバイスに従い、購入する商品を決定。
次に色を決めるのですが、黒系統のものを希望したところ、傷が目立ちやすいとのことでした。
どうしようかなと思っていたところ、店長さんが「黒でも傷が目立ちにくいタイプの革がありあますよ~」
と有り難いお言葉が!在庫がなかったので、オーダーメイドになりました。
革の見本があるので、実物を見ながらオーダーメイドの注文ができます。
私が選んだ商品は、外側の革だけでなく、内側の革と縫い糸のタイプも選ぶことができました。
自分の希望通りにオーダーできるのは嬉しいもんですね。
店内の様子です↓
出来上がりは約1ヶ月後になるとのことです。その時またブログに写真をアップしてみたいと思います。
店長さんとしばらくお話をしてから、お店を後にしました。
お店のすぐ横にはヨットハーバーがあり、なかなかいい雰囲気です。
このブログを読まれた方は、一度覗いてみてはいかがでしょうか。
帰りはのんびり歩いて駅まで行こうかと考えていたら、目の前に芦屋駅行きのバスが滑りこんできました。
あっさりと誘惑に負け、このバスに乗って帰りました。
HEDGE芦屋店さんに行くときは、車がおすすめです!
(目の前に広大な駐車場があります)
2013年02月07日
盗難品の行方
今回は時事ネタから。
昨年の10月、対馬市にあるお寺から、文化財に指定されている仏像が盗難に合うという事件があり、先日犯人が韓国で盗難品
が見つかったとの報道がありました。
日本側は返還を申し出たところ、この仏像は元々韓国で作られたものであり、過去に日本が盗んだ可能性があるとの理由で返還を渋っているとか・・・。
そんな昔のこと、今から調べようないやん!と思うのですが、いかがなものでしょう。
さて、この事件は国境を超えて起きたため問題になっていますが、仮に日本国内だけの事象だとどうなるのか?について考えてみたいと思います。
窃盗は犯罪なので、他人の物を盗んだら当然逮捕され刑罰を受けることになります。
これは問題ないですよね。
では、犯人が捕まる前に、盗難品を売りさばいてしまっていたら、盗難品は、買受人と被害者どちらの所有になるのでしょうか?
-----------------------------------------------------------------------------------------
Aさんはブランド品の高級腕時計を持ってたが、空き巣にはいられてしまい、時計を盗まれてしまった。
犯人は、事情を知らないBさんにその時計を10万円で売渡した。
のちに犯人が逮捕され、時計がBさんに渡ったことが判明した。
-----------------------------------------------------------------------------------------
民法の規定によると、次のようになります。
「空き巣にはいられたときから2年以内に限り、AさんはBさんに対し、時計の返還を請求できる。」(193条)
もし時計の持ち主が2年後に発覚すれば、Aさんは時計を返してもらえないということになります。
では、盗まれて2年以内にBさんの手にあることが判明したとして、Aさんは無償で返還を要求できるのか?
費用の償還についても決まりがあります。
-----------------------------------------------------------------------------------------
「Bさんが事情を知らずに、(競売・公の市場・その物と同種の物を販売する商人)のいずれかから購入した」
→Yes
-----------------------------------------------------------------------------------------
このケースは、Bさんに10万円を払わないと時計を取り戻せません。(194条)
被害にあったAさんには酷な規定な気もしますが、これは市場の流通性を重視しているからなのです。
もしお店で買った商品が実は盗難品だったので後からタダで返せ、と言われたら、怖くておちおち買い物ができなくなりますよね?
ただし、上記のケースには例外があります。時計の現所有者が質屋もしくは古物商であった場合は、盗難のときから1年間は無償で返還請求ができます。(質屋営業法22条、古物商営業法20条)
ちょっとややこしいのですね…
この理由は、質屋や古物商は、プロの目で質受け・下取りをしているはずなので、その分盗難品を仕入れてしまったことのリスクを負わせているからです。
逆に、上記のいずれにも当てはまらない場合は、Aさんは無償で返してもらう事ができます。
(Bさんが窃盗犯から直接買い受けた場合など。)
以上、盗難品・遺失物が転売されたときの法律関係でした。
↓質問・感想・リクエストなど、ぜひお寄せ下さい!
昨年の10月、対馬市にあるお寺から、文化財に指定されている仏像が盗難に合うという事件があり、先日犯人が韓国で盗難品
が見つかったとの報道がありました。
日本側は返還を申し出たところ、この仏像は元々韓国で作られたものであり、過去に日本が盗んだ可能性があるとの理由で返還を渋っているとか・・・。
そんな昔のこと、今から調べようないやん!と思うのですが、いかがなものでしょう。
さて、この事件は国境を超えて起きたため問題になっていますが、仮に日本国内だけの事象だとどうなるのか?について考えてみたいと思います。
窃盗は犯罪なので、他人の物を盗んだら当然逮捕され刑罰を受けることになります。
これは問題ないですよね。
では、犯人が捕まる前に、盗難品を売りさばいてしまっていたら、盗難品は、買受人と被害者どちらの所有になるのでしょうか?
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Aさんはブランド品の高級腕時計を持ってたが、空き巣にはいられてしまい、時計を盗まれてしまった。
犯人は、事情を知らないBさんにその時計を10万円で売渡した。
のちに犯人が逮捕され、時計がBさんに渡ったことが判明した。
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民法の規定によると、次のようになります。
「空き巣にはいられたときから2年以内に限り、AさんはBさんに対し、時計の返還を請求できる。」(193条)
もし時計の持ち主が2年後に発覚すれば、Aさんは時計を返してもらえないということになります。
では、盗まれて2年以内にBさんの手にあることが判明したとして、Aさんは無償で返還を要求できるのか?
費用の償還についても決まりがあります。
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「Bさんが事情を知らずに、(競売・公の市場・その物と同種の物を販売する商人)のいずれかから購入した」
→Yes
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このケースは、Bさんに10万円を払わないと時計を取り戻せません。(194条)
被害にあったAさんには酷な規定な気もしますが、これは市場の流通性を重視しているからなのです。
もしお店で買った商品が実は盗難品だったので後からタダで返せ、と言われたら、怖くておちおち買い物ができなくなりますよね?
ただし、上記のケースには例外があります。時計の現所有者が質屋もしくは古物商であった場合は、盗難のときから1年間は無償で返還請求ができます。(質屋営業法22条、古物商営業法20条)
ちょっとややこしいのですね…
この理由は、質屋や古物商は、プロの目で質受け・下取りをしているはずなので、その分盗難品を仕入れてしまったことのリスクを負わせているからです。
逆に、上記のいずれにも当てはまらない場合は、Aさんは無償で返してもらう事ができます。
(Bさんが窃盗犯から直接買い受けた場合など。)
以上、盗難品・遺失物が転売されたときの法律関係でした。
↓質問・感想・リクエストなど、ぜひお寄せ下さい!
2013年02月03日
思い出話
みなさんこんにちは。
ブログをスタートして、一週間が経ちました。
これからは週2回のペースで記事を書いていくつもりなので、よろしくお願いします!
さて、突然ですが、みなさんは「法律」という言葉から何を連想しますか?
「難しそう。」「知らないと損する!」「六法全書を枕代わりにできそう?」
などなど、人それぞれイメージがあるかと思います。
そんな中、今回は、個人的に思い入れのある判例についてご紹介してみようかなと思います。
私は、大学では工学部に在籍していたので、学生時代は法律のほの字も知らん、という状態
でした。
大学卒業後は、普通に就職して会社員をしていたのですが、いろいろあって資格を取って独立したいと思うようになりました。
当初は司法書士の資格を取ることを目指していて、会社に勤めながら資格予備校に通うようになりました。これが、私が初めて法律について学んだ経験になります。
それまで私が法律について持っていたイメージというと、
「ちょっとでも法に触れるような事をするととヤバイんと違う・・・?!」
といった感じですかね?
融通が効かない、違反すると怖いものという先入観がありました。
(ナニワ金融道の見過ぎかも知れません
)
-----------------------------------------------------------------------------------------------------
【宇奈月温泉事件】
事件の概要:
富山県黒部市にある宇奈月温泉は、上流の黒薙温泉から約7.5Kmの水道管を通じて温泉を引き込み、営業をしていた。水道管は、X会社が保有していた。
水道管のうち、6m程がAの所有する土地を通っていたが、X会社はAから適法な使用権の設定を受けていなかった。
これを知ったAは、X会社に対し、土地を相場の数十倍の価格で買い取るよう要求した。
X会社がこれを拒否すると、Aは水道管の撤去を求める訴訟を起こした。
果たして、Aの要求は認めれるのか?
この事件では、Aという個人とXという会社の間で、金銭を巡る争いがあった訳ですが、このようなときは民法という法律で処理されます。
民法を紐解いてみると、次のように記されています。
民法206条
所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
(注:これは現行法の条文で、事件当時から法改正があったので、当時の民法とは文言が変わっています。が、当時も同様の規定は存在していました。)
206条は、平たく言えば「自分の所有物は、煮て喰おうが逆さにしようが、その人の勝手ですよ」となります。
本事件にそのまま当てはめると、Aさんが自分の土地を思い通りにできるのですから、X会社に勝ち目はない!
ということになりそうですが、結果はどうなったのでしょう?
判決:請求棄却。水道管は撤去しなくてよい。
(大審院判決 昭和10年10月5日)
↑ちなみに、大審院とは、戦前の最高裁判所に当たるものです。
裁判所は、何故このような結論に至ったのか?
この事件には、次のような事情がありました。
1,水道管が通っていた部分は急斜面になっていて、利用価値の無い土地だった。
2,土地の所有権を侵害している面積はごくわずかである。
3,水道管が撤去されると、X会社は莫大な損失を被ることになる。
本事件のように、確かに法的な権利はあるけれども、それを行使することがあまりにも道徳に反することを、「権利の濫用(らんよう)」と呼びます。
裁判所は、この権利濫用の法理を適用して、Aの訴えを退けたのでした。
(なお、この判例は非常に有名なので、法律の勉強をしたことがある人なら必ず知っていると思います)
-----------------------------------------------------------------------------------------------------
この判例を知ったときに、「裁判所も遠山の金さんみたいな事をするのか~」という小学生のような感想を持った記憶があります。
もちろん、いつも上記のような判例が出されるということではなく、事実関係などを詳細に検討したうえでの結論です。
「権利の濫用」を濫用しすぎると、法律がある意味がなくなってしまいますから。
でも、民事裁判において、結果の妥当性を導くため、少々の無理は承知で条文をねじ曲げることはままあります。
「権利濫用の法理」は、条文をねじ曲げるため裁判官が抜く伝家の宝刀の一つです。
ということで、最初に持っていた「法は絶対!」という先入観が少しばかり変化した思い出をご紹介してみました。
…以上で今回の記事は終わりです。
質問・感想・リクエストなどがあればどしどしコメントして頂けると嬉しいです!
ブログをスタートして、一週間が経ちました。
これからは週2回のペースで記事を書いていくつもりなので、よろしくお願いします!
さて、突然ですが、みなさんは「法律」という言葉から何を連想しますか?
「難しそう。」「知らないと損する!」「六法全書を枕代わりにできそう?」
などなど、人それぞれイメージがあるかと思います。
そんな中、今回は、個人的に思い入れのある判例についてご紹介してみようかなと思います。
私は、大学では工学部に在籍していたので、学生時代は法律のほの字も知らん、という状態
でした。
大学卒業後は、普通に就職して会社員をしていたのですが、いろいろあって資格を取って独立したいと思うようになりました。
当初は司法書士の資格を取ることを目指していて、会社に勤めながら資格予備校に通うようになりました。これが、私が初めて法律について学んだ経験になります。
それまで私が法律について持っていたイメージというと、
「ちょっとでも法に触れるような事をするととヤバイんと違う・・・?!」
といった感じですかね?
融通が効かない、違反すると怖いものという先入観がありました。
(ナニワ金融道の見過ぎかも知れません

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【宇奈月温泉事件】
事件の概要:
富山県黒部市にある宇奈月温泉は、上流の黒薙温泉から約7.5Kmの水道管を通じて温泉を引き込み、営業をしていた。水道管は、X会社が保有していた。
水道管のうち、6m程がAの所有する土地を通っていたが、X会社はAから適法な使用権の設定を受けていなかった。
これを知ったAは、X会社に対し、土地を相場の数十倍の価格で買い取るよう要求した。
X会社がこれを拒否すると、Aは水道管の撤去を求める訴訟を起こした。
果たして、Aの要求は認めれるのか?
この事件では、Aという個人とXという会社の間で、金銭を巡る争いがあった訳ですが、このようなときは民法という法律で処理されます。
民法を紐解いてみると、次のように記されています。
民法206条
所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
(注:これは現行法の条文で、事件当時から法改正があったので、当時の民法とは文言が変わっています。が、当時も同様の規定は存在していました。)
206条は、平たく言えば「自分の所有物は、煮て喰おうが逆さにしようが、その人の勝手ですよ」となります。
本事件にそのまま当てはめると、Aさんが自分の土地を思い通りにできるのですから、X会社に勝ち目はない!
ということになりそうですが、結果はどうなったのでしょう?
判決:請求棄却。水道管は撤去しなくてよい。
(大審院判決 昭和10年10月5日)
↑ちなみに、大審院とは、戦前の最高裁判所に当たるものです。
裁判所は、何故このような結論に至ったのか?
この事件には、次のような事情がありました。
1,水道管が通っていた部分は急斜面になっていて、利用価値の無い土地だった。
2,土地の所有権を侵害している面積はごくわずかである。
3,水道管が撤去されると、X会社は莫大な損失を被ることになる。
本事件のように、確かに法的な権利はあるけれども、それを行使することがあまりにも道徳に反することを、「権利の濫用(らんよう)」と呼びます。
裁判所は、この権利濫用の法理を適用して、Aの訴えを退けたのでした。
(なお、この判例は非常に有名なので、法律の勉強をしたことがある人なら必ず知っていると思います)
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この判例を知ったときに、「裁判所も遠山の金さんみたいな事をするのか~」という小学生のような感想を持った記憶があります。
もちろん、いつも上記のような判例が出されるということではなく、事実関係などを詳細に検討したうえでの結論です。
「権利の濫用」を濫用しすぎると、法律がある意味がなくなってしまいますから。
でも、民事裁判において、結果の妥当性を導くため、少々の無理は承知で条文をねじ曲げることはままあります。
「権利濫用の法理」は、条文をねじ曲げるため裁判官が抜く伝家の宝刀の一つです。
ということで、最初に持っていた「法は絶対!」という先入観が少しばかり変化した思い出をご紹介してみました。
…以上で今回の記事は終わりです。
質問・感想・リクエストなどがあればどしどしコメントして頂けると嬉しいです!
この記事どうだった?